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【ネタバレあり】「PROJECT:SUMMER FLARE」をプレイしてきました

夏を壊せ。言葉を壊せ。世界を前に進めるために。

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はじめに

夏を壊せ。
言葉を壊せ。
世界を前に進めるために。
*****
 こんにちは。イルカの人改めあんふぃとらいとです。皆さんはヨツミフレーム氏による最新ワールド「PROJECT: SUMMER FLARE」はもう遊びましたか?遊びましたよね?え?遊んでない?? ……この記事を読む前に、今すぐ遊んできてください。 私見ですが、この作品は「今」遊ぶことでしか完成しえないのです。一大ムーブメントとしてフレンドが誰も彼もPSFに行っているという状況、それ自体が既にこの作品の一部だからです。ですから今すぐそのヘッドセットを被って夏を取り戻しにいきましょう。ほら、こっちですよ!個人的に、初見プレイは一人でじっくり回るのがおすすめです。
……行きましたか?では、この大きな大きな想いを語るとしましょう。

感想

最高。

「体験」の良さ

 VRコンテンツとして、ひいてはVRChatのワールドとしての体験があまりにも良すぎる。ここでいう「体験」はそのままの意味ではなく、英語の"Experience"のように様々な含みやニュアンスのある意味です。まず「いかにユーザーの機嫌を損ねないか」という部分がとことんまで考えられているのです。例えばHUDシステム。これのおかげで多人数でプレイしていてもアイテムを見失うことがない。HUDが表示される理由もきちんと用意されているのが余念のなさを感じます。それからAct1中盤の銃を使って橋を伸ばすギミックや、Act2の換気扇をレバーで止めながら進む箇所。これらはギミックを発動させた後にリスポーン地点に戻るようなミスをしても、きちんと先に進めるマップ構造になっている。このセーフティネットのおかげで足場や梯子を踏み外しても最初から全部やり直しにならないで済むのです。もちろんこれは梯子やロープ等のギミックの動作が自然なことや、適切なリスポーン地点の配置あってのものですが。そしてなにより、遠距離のオブジェクトをポイントすることでピックアップできるギミックを欠いてはこのワールドのユーザーへの配慮を語ることはできません。これね、楽しすぎる。銃のリロードのギミックもとても楽しかったのでできればもっとバシバシ撃ちたかったのですが、さすがにそうすると別ゲーになってしまうのでこのぐらいのバランスが正解なのでしょう。

世界観の良さ

 作品がVRChatのワールドであるということをうまく取り込んだ、いわゆる「第四の壁」を越えた世界観設定がストーリーへの没入感を高めてくれました。特にAct2終盤のヘッドセットを外すシーンでフレンドとの音声コミュニケーションを失うのは、心の中にあった「音声コミュニケーションが失われることはないだろう」というメタ的な安心感を打ち砕く素敵な演出だと感じました。
エンディング(あるいはプロローグ)がムービーではなく体験型なのもよかったです。「作者自身も作品の一部である」という世界観の徹底ぶりには脱帽でした。
以下は設定資料集が出ていない状態の考察です。“Just a theory"と思って読んでください。

考察

・“SatelliteReality"の存在:
Act2終盤の建物にある"No Satellite Reality"の標識。つまり人類はサテライトによって「終わらない夏」の幻覚を体験させられている?→実は幻覚は錯覚のようなもので、我々人類の中に「終わらない夏」のミームが脈々とあるからこそ、そこを入り口に狂気が定着してしまったのではないか?→FASの「サテライトが温感を捏造している」という話や「『最強の剣』も『正確無比なオペレーター』もすべて誰かがそうあれかしと思ったことで発生した」という話とも符合する
・終わらない夏の狂気:
なぜ地球は凍ってしまったのか?→純粋に氷河期がやってきたから……あるいは、過去になんらかの原因で核爆弾が投下されたことで「核の冬」が訪れてしまった?→Act2の偽デュランダルを拾うとガイガーカウンターのような音を立てることと関連する?
(2021/09/25追記)フレンド曰く「デュランダルが赤熱しているのは核攻撃を受けたからでは?」とのこと。そう考えるとデュランダルに近づいたときだけガイガーカウンターが反応するのも納得だが、それはつまり「プレイヤー」がガイガーカウンターを持ち歩いているということであり、なおのこと「核の冬」説が有力になる
・なぜHMDをつけているのか:
あえてサテライトの見せる狂気の中に侵入することで、「夏」の拡大を止める方法を探していた?
・銃のモデル:
装弾数が7発→M1911がモデル?
・(2021/09/25追記)2141年:

「プレイヤー」がプロトコルの実行中に義体として使っていたm8pr/6の製造年はおそらく2141年。

ちなみにPSFの世界観やギミックの展示ワールドである「夏が始まる一日前。」のエントランスに置いてあるウッドブロックには"Jun 20 Tue"とあるが、2141年の6月20日は火曜日である。

同ワールドで特定の動作をすることで一瞬だけ見られるm8pr/6のものと思しきコンソールに映るカレンダーも同じく2141年のものと思われる。

“LC-3"の横にあったウッドブロックには"Aug 12 Mon"とある。2141年以降に直近で月曜日の8月12日が訪れるのは2143年だが、そもそもこのブロックがいつ置かれたものかが定かでないため、憶測の域を出ない。
・(2021/09/25追記)サテライト規制当局

LuPIの紋章が描かれた下に"SATELLITE REGULATION AUTHORITY"という謎の機関のロゴがあるのが見える。日本語に訳すと「サテライト規制当局」……LCの前身だろうか?あるいはサテライトからLCがLuPIもろとも奪取したのか……

ちなみに建物の外に立っている旗にもよく似たロゴが描かれている。
・(2021/09/25追記)色のない世界:
クリア後の色のない世界は実は「脱色後」なのではなくて、「着色前」なのではないか?プロローグで"BREAK THE SUMMER"のメッセージをこのワールドが作られる前に送ったことで、ワールドの制作が途中で止まったのだとしたら……
・(2021/09/25追記)Break the tower.
「言葉を壊せ。」が"Break the tower.“と訳されているのはバベルの塔の伝説を意識している?→「夏が始まる一日前。」でもバベルの塔らしき"塔"への言及がある。→「言葉を壊す」のは人類をプロトコルに依らないコミュニケーションの境地へ導くため、もとい「世界を前に進める」ため?

サウンドデザインの良さ

 BGMや一部効果音がヨツミフレーム氏自身による書き下ろしなのがすごい。ギミックやモデル、UIなどに加えて音の部分もフルスクラッチであるゆえに、各施設や状況に完全にマッチしていて雰囲気を引き立ててくれていました。開発段階から設定資料に並んでOSTのリリースも考えているとのことだったので、発表に期待を寄せています。

おわりに

 クリアしたあと、フレンドに別れを告げ、HMDを外し、おもむろにベッドに横たわって、そして少し泣きました。人間は食べきれない食事を吐寫するように、処理しきれない感情を涙へと変えるのだと気付きました。
 とにかく、素敵な作品でした。この記事は初見の感想に基づいて書かれていますが、もしかしたら2周3周した上で加筆修正をするかもしれません。それとこれは個人的な願望ですが……なんか作ってるオタク同士で組んでこういうデカいことやりてーー!!!!
じつは8月末まではご縁があってデカめのパーティクルライブのプロジェクトにお邪魔していたのですが、それが終わってしまったので暇を持て余しています。……どなたか、わたしと組んでみませんか?プロップのモデリングやスクリプティング、デザインとトレーラームービーの制作ができます。きっとお役に立ちますよ。

それから、最後に一言。――ありがとう。

Licensed under CC BY-NC-SA 4.0
最終更新 Sep 25, 2021 15:00 +0900
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